About eczema
湿疹
皮膚炎と同義。皮膚が炎症を起こすことで生じるさまざまな変化を指す。1.紅斑、小水疱、小膿疱、小丘疹、鱗屑等を伴い、2.病巣は多様で、各病巣が同時あるいは異所に見られ、3.痒みがある。乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で発症し、皮膚疾患の約1/3を占める。原因は多岐に渡り、重症度や完治までの治療期間もそれぞれ。
Case of Itching and eczema
痒みと湿疹のケース
Chief complaint
主訴
30代、女性。膝窩、腋窩、全腕、手指、首、胸部が猛烈に痒い。アレルギーはない。汗で蒸れると痒くなり、かくと浸出液が出て、かさぶたやかさつきが生じ、痛み、細かな落屑、その後色素沈着する。痒みは毎年春から始まり、冬に軽減する。幼児期から発疹があり、ステロイド薬を塗布した。数年前、ホメオパシー健康相談を利用しながら脱ステし、肌がきれいになった時期もあったが、以降も、毎年春には発疹が出る。今回久々に発疹がひどく、首から下の全身が荒れた状態。レメディーの使用で症状の激しさが増してつらかった経験が多い。そのため、レメディーの使用が不安で、穏やかに改善に導くホメオパスを捜していた。家族(ホメオパス)の紹介で来談。
主訴の経過
年齢 | 症状詳細 |
2週 | 顔にひどい乳児湿疹。1ヵ月半には消えた。薬は使っていない。 |
3ヵ月 | 海外転居。背中に赤い発疹が出る、汗疹か? ステロイド薬塗布。 |
3歳半 | 帰国 |
幼稚園~小学校 | 肌に発疹が出る度に皮膚科に行き、ステロイド薬を塗る。 |
18歳 | 大学入学後から、再び、肌の調子が悪くなる。ひどい痒みで学業に支障を来したため、保湿クリームのように薬を塗った。 |
20歳 | 成人式前、顔にも痒みが出るように(それまでは体のみだった)。 |
23歳 | 就職 |
24歳 | ステロイド薬が効かなくなり、どうしようもなく、ホメオパシーで脱ステを決意。壮絶な戦い。肌はゾンビ状態、汗だか何だかわからない汁が沢山でて、洋服は絞れるほど、ベッドのシーツ下までしみた。排尿が減り、1日1回に。その1回の、トイレまでの10mの移動すらつらいほどだるかった。だるいなどを通り越し、訳が分からない状態で、ひたすら不安、死ぬかと思った。あまりにも辛すぎて、生まれて初めて、最初で最後で、死んだほうが楽と思った。今までそんなこと思うようなタイプではなく、現在もそんなことは思わない。半年程休職し、実家に戻った。その様子に、当時母も「(一人おいての)外出が不安だった」。 |
25歳 | 仕事復帰 結婚。最高に肌がきれいな状態で結婚式を挙げられたが、以降も、毎年春には痒みや湿疹が出る。 |
27歳 | 第一子出産 |
29歳 | 第二子出産 |
30歳 | 春から、久しぶりに痒み、発疹が酷い。首から下の全身が荒れた状態で来談。 |
ご依頼時の自覚症状
頭痛 | 就職してから、夕方、疲れを感じるとき、激しい頭痛になることがある。眠ると治る。 |
近視 | |
歯が欠ける | 産後、歯が欠けた。 |
肩こり | 幼児2人の世話を主に一人で行い、忙しく、疲れている。 |
胸のしこり | 20歳ごろ気付く、病院で「良性のしこり」と言われた。乳腺線維腺腫か? |
背中の痛み | 血管腫の既往がある。 |
あかぎれ | 冬になるとぱっくり切れる。 |
他既往 | ウイルス性腸炎、グラム陽性菌感染、骨折数回、靭帯断裂、成長痛、疣、チョコレート嚢腫⇒手術、血管腫⇒手術 麻酔で副作用、など。 |
Used Remedies
使用レメディー
Bac. Calc-f. Calc-p. Carb-v. Chin. Lach. Med. Rhus-t. Nat-m. Sil. Sulf. Tub-b. 他
Reason for selection
選択理由
下記視点に基づいてレメディーを選択、それぞれ適切なポーテンシーで使用。
- ミネラルのサポート
- 急なつらい症状に合うもの
- 痒みや湿疹他の疾病歴、ご親族の疾病歴に共通する疾病に合うもの
- 各レメディーへの反応を高めるもの
- 出たり消えたりを繰り返し、治ったことのない、慢性的な症状全体に合うもの
Result
結果/首の落屑
結果/肘窩の湿疹
結果/膝窩の湿疹・色素沈着
結果/額の落屑
結果/手指の湿疹
結果/手指先の湿疹
Report from client
お客様のご報告から
初回後 | 2016.11 | 症状がひどくならずに、全てのレメディーを使えた。痒み、湿疹は首やデコルテを中心に改善。汗をかくと痒くなることがある。毎秋、手が乾燥し、あかぎれがパックリ割れて痛痒かったが、今年は今のところなく、痒みはあるものの、家事の苦痛がない。頭痛もない。背中の痛みが生じた(以前血管腫の手術をしている)。 |
2回目後 | 2017.2 | 引き続き、症状がひどくならずに、全てのレメディーを使えた。春に向かって、目の周りが痒くなり、落屑後、少し落ち着いた。毎秋のあかぎれは結局生じず、素手で水仕事が出来た。頭痛はない、頻度が減っている。歯が欠けた、虫歯とわかった(治療済み)。 |
3回目後 | 2017.4 | 春になり、顔の痒みと落屑が増えた。目の周りだけだった湿疹が顔全体に。1日に1,2回ほど、叩かないといられないほどの痒み、長いときは叩きっぱなしで2時間。午前中と夕方~夜が多い。頭痛はほぼない。 |
4回目後 | 2017.7 | 夏に向かう中、顔が改善。痒み・落屑がなく、メイクもできる。手指の症状が強くなった。左右とも、中指と薬指の内側、爪の根元。ぷっくりして痒くなり、汁も出る。膝裏が日に何度か、ものすごく痒くなる。肘内側も痒くなるが、一時よりは落ち着いた。 |
5回目後 | 2018.1 | 痒み・落屑は大きく改善。再びまぶたが痒い。手指は湿疹が少し残る程度。汁が出ず、爪の付け根の膨らみも無い。不快さはほぼ無い。子どもの行事に出席後、激しい頭痛があった。 |
6回目後 | 2018.7 | 春から梅雨にかけ、顔、腕、脚に、痒み、湿疹、赤みがあったが、落ち着いた。中指と薬指の内側に湿疹はあるが、各所、例年より楽に過ごせている。時々ひどい頭痛。 |
Consideration
考察
数名のホメオパスを経て来談。使用レメディーや経過の詳細は不明ながらも、資料と談話から、本人と第二子が、レメディーの刺激に敏感な反応を見せていたことが伺われた。そのため、ホメオパスである家族、本人ともに、レメディーの使用に不安があるとのこと。そこで、初回相談では、レメディー摂取後に症状がつらくなった際には対応方法があること、サポート期間中(6週間)の困りごとには、いつでも何度でも対応することを伝え、選択レメディーを一種類ずつ試すことを提案。最も作用の浅い一種類から開始し、症状がひどくならないことを確認後、次に作用の浅いレメディーを追加、という手順で進行。結果、症状はひどくならず、大きな途中相談もなく、レメディー全てを使用、首から改善が始まった(「へリングの法則」)。初回の、各レメディーに対する反応から、レメディーに対する敏感な反応やつらい症状は、外的刺激要因への内的反応不足から生じていると推察。そこで、2回目より、反応不足という特徴の同種として、抗疥癬レメディーを選択。膝窩、肘窩の改善が始まった。5回目、本人の特徴に合わせ、抗疥癬介入レメディーをCarb-v.からSulph.に変更、大きな改善を見る。季節性の症状は、現在も、当該季節になると生じるものの、前々年よりも前年、前年よりも本年と、年々軽く済むようになった。これは、慢性症状へのホメオパシー療法ではよく知られた適切な経過である。引き続き、丁寧な観察、慎重な分析、禁忌にとらわれない選択を心掛け、年単位での改善を目指す。
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ホメオパシー健康相談は、お一人お一人の症状に沿って、症状全体に合うレメディーをお探しするものです。そのため、同じ病名の方に、同じレメディーを用いるとは限りません。上記レメディーを使用して生じたことがらに対する責任は負いかねます。ホメオパシーセルフケアの範囲を超える症状は、ご自身で対応せず、ホメオパスにご相談ください。