対人援助者となるための準備=観察☆公認心理師の定義を参考に

対人援助職の準備期・駆け出し期の方々の
ご質問から、ご一緒に考えたいこと☆

ティアラ
日本ホメオパシーセンター渋谷笹塚交差点
ホメオパスの佐々木美紀です。

【対人援助職に就くために、身に付けておきたいこと】

ホメオパシー健康相談は、
お客様がお困りの症状に
合うレメディーを見つける仕事。

その過程で、
心身、生活、出来事について、
お客様から詳細にお話を伺うため、
ティアラでは当初より、サービスの提供に際し、
心理相談に準ずる準備を心がけています。

対人援助職のプロとして
「心理相談に準じた準備って?」

ホメオパスや自然療法家の準備期の方には、
心理学に触れる機会がなかった方も
いらっしゃるかと思います。

そうしたみなさんの準備のご参考に、今日は、
プロの心理療法家が備えている技術について
お話しようと思います。
はじめに、昨秋施行された心理職の国家資格、
「公認心理師」の定義をご覧ください。

【公認心理師とは】

1.心理に関する支援を要する者の心理状態の観察とその結果の分析
2.心理に関する支援を要する者の心理に関する相談、助言、指導
3.心理に関する支援を要する者の関係者との相談、助言、指導その他の援助
4.心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

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言葉が硬く、長いかな?
「心理に関する支援を要する者の」の部分を、
「お客様の」「クライアント様の」などに
置き換えると、分かりやすく読めそうですね。

そして、ホメオパスや自然療法家なら、
「心理」の部分を「心身」と置き換えると、
必要な準備が見えてくるのではないでしょうか。

【対人援助職に就くための準備の急所】

お客様の心身に関する
1.観察・分析
2.相談・助言・指導・援助
3.教育・情報提供

・・・の技術を磨くこと。

ご自身に置き換えて考えやすくするために、
現場で生じる順序に並べ替えると。

主にセッション場面で、
相談:お話を伺う
観察:事実を認識する
分析:事実の前後関係や相関を認識する
援助:改善解決に向けた技術提供
助言:改善解決に向けた情報提供
指導:改善解決に向けた訓練指南

セッションに加え、
セミナー、ブログ、HP、その他の場面で、
情報提供:各療法に関する全般的な知識の伝達
教育:各療法に関する技術の訓練

・・・の各技術が求められるということ。
・・・の各技術を身に付けることがプロになるための準備であるということ。

【教育現場の現状】

にもかかわらず。
対人援助職を目的とした様々なセミナーや自然療法の
準備期・駆け出し期の方々からお話を伺ったところでは。

情報提供、教育、援助、に関しては
療法特有のカリキュラムがあるようですが、
相談、観察、分析、助言、指導に関しては
具体的な指導がないというのが実情のようです
(あるいは、
 指導している「つもり」だが、
 実際の内容はそれに値しないなど。
 心理療法の曲解に基づく?指導が
 行われているようなエピソードも伺いました)。

教育機関それぞれに、
指導のための人材・資源不足など
ご事情がおありかと存じます。
所属機関での指導が期待できない場合も、
諦めなければ、
ご自身で準備なさることは可能です。

【心理学を学びたいときは】

そうした状況下、
対人援助のプロであるには
ご自身が準備不足であると気付かれた方、
対人援助のプロに向けた準備にあたり、
心理学が有用そうと気付かれた方から、
「心理学を勉強したいが、何から始めたらいいか」
「どの心理療法を学んだらいいか」
「○○のセミナーはどうか」
といったご質問をいただきます。

私の回答はたいてい、
「放送大学などで基礎を学んでみたら?」
(今から受験勉強をして、
 大学の心理学科に行ったらとまでは言わないが、
 「○○のセミナー」みたいなものは、
 対人援助職に向けた訓練にはならないので
 お勧めしないよ、の意)。

観察を育てるような、
自然科学系の教育・訓練を受けていない方が、
心理学、心理療法を学びたい場合は、
放送大学をお勧めします。


【観察が出来ないことには始まらないのだ】

といいますのは。
相談、観察、助言・指導の部分は、
観察とその他(相談、助言・指導)の
二つに分けることが出来ますが、
より重要なのは観察。

大学の心理学科なら、必ず、
基礎課程で観察の訓練が行われます
(心理学実験、教育心理統計法、ゼミ、卒業論文執筆で)。
放送大学でしたら、
同様のカリキュラムがあることに加え、
入学に際して学力試験がないため、
どなたでも学んでいただくことが可能です。

なぜそうした過程になっているかというと、
観察=事実を認識すること
  =客観 なしには、
心理学を学ぶことができないから。
心理学に基づく心理療法も、もちろん、
観察なしに理解・実施・提供出来ないものだからです。

相談、助言・指導といった要素は、心理学でも、
メソッドごとに見解が異なる部分でもあるので、
観察を身に付けた上で、
様々なメソッドに触れ、
ご自身と、縁あるお客様のタイプに合うメソッドを選び、
身に付けられるといいですよ。

【心理学セミナー類はお勧めしません】

心理学セミナー類も、
自然療法などの教育機関同様、
情報提供、教育、分析、援助、に関しては
カリキュラムがあるようですが、
相談、観察、助言・指導に関しては、
具体的な指導が受けられないようです。

相談、観察、助言・指導のうち、
心理学に取り組む上で最も大切なものは「観察」。
(土台となる観察技術の訓練なしに、
 分析、援助の訓練を積めるはずもなく、
 なぜそれで心理学のセミナーとうたえるのか、
 はなはだ疑問ではありますが)
心理学がテーマとうたったセミナー類でも、
観察の指導・訓練が用意されていないようなら、
対人援助職のプロに向けた準備には
適さないため、お勧めしません
(他者のサポートに用いず、
 ご自身に役立てるためであったり、
 生涯教育の一環として取り組まれる分には
 いいのかなとは思います)。

【別の理由からもお勧めしません】

また、
自己啓発系の心理療法や心理学セミナーは、
対人援助職のプロに向けた準備としては
別の理由からも適さないため、お勧めしません
(他者のサポートに用いず、
 ご自身に役立てるためであったり、
 生涯教育の一環として取り組まれる分には
 いいのかなとは思います)。

なぜなら、そうしたセミナーは、
「自他を思い通りにしたい」という
願望から始まっているから。
かつての受講生である提供者、
そうした提供者が開催するセミナーに申し込む受講生の、
もう、その動機自体が、
自然科学に向き合う心構えではないため
(他者のサポートに用いず、
 ご自身に役立てるためであったり、
 生涯教育の一環として取り組まれる分には
 そのメソッドが感性に合うようならどうぞ)。

【基礎を固めたうえでの各療法】

今日は、ご質問が重なった件、
心理相談をプロとして受けるための体制作りについて
公認心理師の定義を参考に考えてみました。

1.観察・分析
2.相談・助言・指導・援助
3.教育・情報提供

こうした責務を果たすために必要になるのが、
安全の確保。
安全、を、どのように捉え、
どのように確保するか。
その実現を意識して私が選んだものが
先日のテーマ「ホールディング」。

心理療法、心理カウンセリング、心理相談は、
「『ホールディング』すればOK?」
「傾聴すればOK?」
「共感的に聞いているからOK?」
・・・ではないことが、
公認心理師の定義からお分かりいただけることと思います。

「実際にある」と認識した内容に沿って、
お客様に必要なタイミングで、
必要な内容・量のサポートができる技術。
そんな準備を重ねていかれてくださいね。

[参考文献]
一般財団法人日本心理研修センター(2018)「公認心理師現任者講習会テキスト」

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