もっと知りたい☆マザーチンキ

みきです♪ 先日の記事では物足りない(?)ベテランユーザーのみなさんに向け、もう少し詳しい説明を続けさせていただきます。

~もう少し詳しく知りたい方のために~

★マザーチンキ(MT)って何?

植物をお酒に漬けて抽出した植物エキスのこと。原液ではなく、1X(10倍希釈)~3X(1000倍希釈)で用いることが多いこと、毒性の強い植物は用いないことから、飲んでも害にならないと言われています。

★どんな時につかうの?

臓器が弱っていると考えられるときに(総体症状が特定の臓器の虚弱や機能不全に向けられているとき)。

★なぜ使うの?

臓器の虚弱が治癒の障害になり、虚弱が治まるまで最適なレメディーが働きにくくなるため。

★どうやって使うの?

食品なので飲み方は自由です。
目安として、500mlの水やジュースなどに5~10滴垂らして薄めて飲みます。
濃度を調整し、お子さまや動物にもお使いいただけます。

摂取中に新しい症状が出たら、そのチンキが適切であるという兆候、摂取量(滴数)を減らすと苦痛なく必要な治癒反応がもたらされる、と言われています。

この他に、

入浴剤として:お猪口1杯程度~お好みの量で
怪我の手当・うがいに:少量の水にお好みの量で
自家製化粧品添加:化粧水、乳液、クリーム、マッサージオイルなどにお好みの量で

のように使うこともできます。

★使用する際の注意点は?

MTに限らず、ハーブを用いる際には、原料(植物)の育てられた環境にご注意ください。化学肥料や農薬により、植物が本来持っていたファイトケミカルが失われ、有害物質に汚染されている可能性もあります。有害物質に汚染されていない自然な環境で採取されたり、自然農法で栽培された植物の利用が勧められます。

~さらに詳しく知りたい方のために~

★由来は?

ヨハン・ゴットフリー・ラーデマッハー(独/医師;1772-1850)が、パラケルスス(スイス/医師;1943-1541)から多くの示唆を得て、経験に基づき発展させた「臓器療法」に由来します。彼は、特定の臓器・組織・機能に限って親和するハーブチンキを、コップ半分の水に1滴の割合で希釈して用いていたそうです。こうしたチンキはその後弟子たちにより「臓器レメディー」と呼ばれました。

★ホメオパシーとの関係は?

サミュエル・ハーネマンは「医術のオルガノン」で、高ポーテンシーのレメディーを使えるのは、内蔵に損傷がない場合と記しています(§279)。この章は、微量投与の有効性の説明に加え、症状のエネルギーレベルに合わせたポーテンシーを用いることを示唆していると言われています。感覚や機能といった、目に見えない、エネルギーレベルの症状には高ポーテンシーのレメディー、肉体そのもの、目に見える組織や臓器の症状には、低ポーテンシーのレメディーが同種になる、と考えられています。臓器の弱りが見られるような慢性病は、エネルギーレベルの異変も同時に見られることがほとんどなので、ホメオパシーで慢性病に取り組む際は、MTと高ポーテンシーのレメディーの両方を効果的に用いることが必要となります。

MTの使用は、コンプトン・バーネット(英/ホメオパス;1840-1901)が、ラーデマッハーの「臓器療法」が同種療法的であることに気づいたことから始まりました。彼によると、臓器レメディーは、物質的な成分の残るものを(※MTですね)、頻繁に反復投与すると効果があったとのこと。大人:1リットルに5滴×3回/日 子供:1回2滴で十分と述べているそうです。

★本当に有用なの?

各時代、各地のホメオパスによって、MTの有用性が経験的に確認されています。

クーパー(英/ホメオパス)は著書「初心者ホメオパスによるガン治療」の中で、マザーチンキや低希釈率のレメディーを用い治療を行っていると述べているそうです。

エワルト・ストットラー(蘭/ホメオパス)は、「エネルギーレベルの疾患にはポーテンシー化されたレメディーを用い、物質的臓器的レベルの疾患には物質量の含まれたマザーチンキが同種のポーテンシーとなる」、「臓器の不調からくる症状が回復すると、根本体質レメディーを選択するための症状像がより明確になるため有用である」と述べています。

恩師由井寅子先生(日/ホメオパス;1953-)は、肉体、精神、霊魂の三位一体を癒すために創始した「三次元的処方」にMTを採用。MTについて「肉体レベルの病気を直接的に治癒に導くもの」、「健康(自然体)と同じものを与えて治癒に導く方法」と位置づけています。

MTやレメディーの作用を科学的に解明しようという取り組みも進んでいます。

プラサンタ・バナジー、プラティップ・バナジー(印/ホメオパシー医)は、ホメオパシーレメディーを用いた、体外/体内研究に数多く取り組んでおり、テキサス大学のM.D.アンダーソン癌センターとの共同研究で、化学療法や放射線を用いず、ホメオパシーレメディーのみを用い、神経膠腫を持つ脳腫瘍の患者7人中6人の腫瘍が完全に縮小した、と発表しています(Patak.,S.,2003)。
彼らはまた、カンジダ類に対するダイダイ・エキスの抗真菌作用や、古くから腸チフスの治療に幅広く使われてきたバプテジアMTとヴィダール抗原の反応など、植物と細菌の接点を明らかにするための調査も続けており、経験的に確かめられていた有効性が、今後科学的に明らかにされる可能性があると言われています(ヴィダール抗原:チフス感染を調べるための抗原)。

[参考文献]
イワン・ワトソン(1990)「ホメオパシー方法論へのガイド」(ホメオパシー出版)
S.R.ファタック(2010)「ファタックのマテリアメディカ」(ホメオパシー出版)
サミュエル・ハーネマン(2007)「改訂版 医術のオルガノン 第六版」(ホメオパシー出版)
ホメオパシーとらのこ会(2008)「Oasis 40号」(ホメオパシーとらのこ会)
ホメオパシーとらのこ会(2008)「Oasis 41号」(ホメオパシーとらのこ会)
ホメオパシーとらのこ会(2009)「Oasis 46号」(ホメオパシーとらのこ会)
マシュー・ウッド(2009)「バイタリズム 類似の法則と植物レメディーの系譜」(ホメオパシー出版)
由井寅子監修 東昭史著(2011)「心と体にやさしい薬草入門」(ホメオパシー出版)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です